Amazonで見かけて前々から気になっていた「低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー」という書籍。
なかなか興味深く、いまいち投資スタイルが定まらない僕に、今後の投資方針や銘柄選定に大きな影響を与えてくれた、読んでよかったと思える本でした。
自分の頭の整理にもなりますし、折角なので、本書の内容紹介と感想をお伝えしたいと思います。
内容紹介
「新時代に対応した運用」で「負けない投資家」になる
本書では、低迷する現代の世界経済において「負けない投資家」になるためには、これまで常識とされてきた資産運用セオリーとは全く異なる「新時代に対応した運用」が求められるとし、その実現に必要な知識を具体的なデータやポートフォリオ例を交えて詳しく解説しています。
具体的な方策として本書が提案するのは、次の2点です。
- 金融機関の言われるがままに高コストの投信を売買させられ手数料を搾取されるような人任せの資産運用を卒業し、「自立した投資家」となること。
- 旧来型運用セオリーである、国内および先進国を対象とした分散投資から脱却し、低コストな海外ETFを活用して外国資産での分散投資を行う「新時代に対応した運用」を実践すること。
自立した投資家とは
本書でいうところの「自立した投資家」とは、金融機関の言われるがままではなく、どのような資産クラスの投資商品を、どのくらいの割合で保有すればよいのか、景気状況に応じて、自分の頭で考え、判断することのできる投資家のことを指しています。
筆者が「自立した投資家」となる必要があるとする理由としては、日本は海外に比べて投信に関わる手数料が高いこと、そして金融機関はその中でも高コストな投信を積極的に売買させて手数料を得ようとしていることを挙げています。
コストに関して筆者はこのように述べています。
今の投資環境において個人投資家が真っ先に取り組むべきなのは、運用コストを下げることだと言ってもいいでしょう。
「負けない資産運用」をするためには、コストは最低限に抑える必要があり、そのためには自分で判断できる「自立した投資家」となり、低コストな商品を選択していくことが求められるということです。
新時代に対応した運用とは
「新時代に対応した運用」とは、低コストな海外ETFを用いて、外国資産で分散投資を行うことです。
外国資産に投資する根拠として、本書では、我々は預貯金だけでなく年金や退職金などを通して、自分が思う以上に国内資産を保有していることから、個人で自由に運用できる資金に関しては外国資金で運用すべきとの見解を示しています。
外国資産の調達において海外ETFを提案しているのは、負けない運用を実現するにあたり、一般的に低コストな海外ETFは相性が良いと考えられるからです。
- ETFは株式と同じように市場に上場されていますから、信託報酬の約半分を代行手数料として取る「販売会社」が存在せず、その分だけコストが低くなるのです。
- 「自立した個人投資家」にとって海外ETFは最強のツールと言ってもいいかもしれません。
また、今後の世界経済においては新興国の成長が見込まれることから、外国資産の中でも新興国の重要性を指摘し、従来よりも投資比率を上げるべきとも述べています。
さらにもう一点筆者が「新時代に対応した運用」として勧めるのは、金をポートフォリオに入れることです。
負けない運用をするためには、リスクを抑えるよう外国資産の中でも先進国、新興国の株式、債券に分散投資することになるわけですが、それら全ての資産クラスが下がるような大恐慌時のリスクヘッジとして、これらと相関の低い金を持つことが重要と考えてのことです。
- 金価格の値動きは、株式や債券はもちろん、不動産やコモディティなどとも異なっているのです。
- 金はインフレでもデフレでも、「あらゆる局面で強い資産」と呼べるようになっているのです。
そしてここが最も重要なところですが、本書には、実際にポートフォリオに組み入れることをお勧めする各資産クラス、地域毎の海外ETFが紹介されています。
これら紹介されている海外ETFおよび金ETFを駆使して、景気動向に応じてポートフォリオを組み替えていくこと、つまりアクティブにインデックス運用すること、これが筆者の提唱する「新時代に対応した運用」となります。
今のように先が読めない混沌の時代にこそ、読者のみなさんにはぜひ「海外ETFを活用したアクティブなインデックス投資」という新しいスタイルを参考にしていただければと思います。
感想と今後の方針
我々は既にかなり多くの国内資産を保有しているという筆者の主張は、僕も前々から感じていたことでした。
年金として毎月結構な額を積み立てているわけで、(最終的に貰える額は減るかもしれませんが)円貨での資産は見えている以上に保有しているとずっと思っていました。
そういう意味では、自由にできる運用資金は外国資産に回すべきという筆者の提案は、結構納得のいくものだと思いました。
じゃあ僕の運用資金全部を外国資産で持つのかというと、それはまだちょっと抵抗があります。ただ、これまでは国内:海外=50%:50%で考えていましたが、もう少し外国比率を高めてもいけそうだなという一種の自信のようなものを持つことができました。
ETFで低コスト運用をすべきという点は、もちろん同意です。
僕のように運用資産の少ない個人投資家で、リスクを抑えた長期投資をしたいというのであれば、簡単に低コストで分散投資のできるETFが最適解と思います。
金に関してはポートフォリオに入れるべきかどうか、まだ判断しかねています。もしかしたらそのうち導入するかもしれません。
お勧めの低コスト海外ETFも具体的な銘柄が紹介されていますが、本書が2012年12月に出版されたということを踏まえると、実際に投資する際には更に良い商品があるかどうか調査する必要があるとは思います。
とはいっても、そのまま使っても問題無いレベルの低コスト商品を紹介してもらっていますので、かなり参考になるのは間違い無いです。
本書を読んで何か投資方針に影響があったかという点に関してですが、今後は外国資産を多めに持つ方向に動いていくつもりです。
ただ、その中でも資産クラスをどのような配分にするかのアセットアロケーションは、NISAや確定拠出年金といった投資手段と併せて総合的に判断したいと考えていますので、まだ未定です。
時間分散効果を得るためにも徐々に各種外国資産に投資していき、並行して早めに完成形を見つけるよう検討していきます。
本書で展開される理論の詳細や、お勧めの海外ETF銘柄情報に興味がある方は、是非本書を手に取ってみて下さい。海外ETF投資をこれから始めるという方にはきっと役に立つはずです。
コメント
こんばんは、榎です。
勉強になります。
やはり色々な勉強をしないといけないですね。
これからの日本では、自力で稼ぐ力をつける必要があると思います。
そのためには、自分で判断できるようにならないといけません。
投資に限らずですが、自分で判断=自己責任なので、勉強と経験で
身につけていきたいですね。
また来ます。
投資に限らずですが、自分で判断できるようにならなければ
これからの日本で会社に頼らず、自力で稼ぐ力をつける必要があります。